映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」社会を映す鏡としての映画

アニメ
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映画は娯楽であるという大前提があると思いますが、世の中の社会性や教育性を写す鏡だとも思っています。
そんな自分にとって最高映画でした。
めちゃくちゃ素敵な作品です。

おすすめ度

作品情報

制作年 1987年

制作国 日本

上映時間 119分

ジャンル アニメ

 

監督

山賀博之

 

キャスト

森本レオ(シロツグ)

弥生みつき(リイクニ)

内田稔(将軍)

飯塚昭三(指導官)

曽我部和恭(マティ)

平野正人(カロック)

鈴置洋孝(ドムロット)

伊沢弘(ダンガン)

 

 

あらすじ

地球に似た星オネミアス王国が舞台。
その王立宇宙軍は落第軍隊と揶揄されているが、軍の士官シロツグは少女の言葉を機に宇宙飛行士に志願し、仲間とともにロケット打ち上げに臨む。

 

感想・考察

若手クリエイターの葛藤を具現化した作品

公開当時、監督山賀博之さんは24歳ということ、それだけでも凄い作品です。
しかしこの作品の凄さは監督の若さだけてまはなく、制作に関わったスタッフのほとんどが若手クリエイターによって構成されているという点です。

「AKIRA」と並ぶ80年代の傑作

こちらは偶々見つけた作品ですが80年代のアニメーション映画では「AKIRA」と並ぶ秀作だそうで、納得も納得でした。
最近YouTubeでも活躍している岡田斗司夫さんも制作に参画しております。
彼の動画はいくつか見ましたが、本当に幸せそうに解説しているんですよね。
だから本当に映画が好きで話すのが楽しいというのが伝わってくるので好きなチャンネルの1つです。

好奇心を加速させる冒頭

冒頭の渋い声による悟りを開くかのようなナレーション。
一億総中流社会を揶揄するかの如く語る姿。
ドラゴンクエストを思わせるキャラクターグラフィック。美術。素晴らしい。冒頭からワクワクしっぱなしでした。
DVDで鑑賞したのですが、スタートメニューからドラゴンクエストを思わせ、キャラクターのグラフィックもアニメーションのドラゴンクエストによく似ています。
何処と無くドラゴンボールにも。鳥山明さんなキャラクターデザインを参考にしていたのかも。振動の演出や音声絶妙でした。
シロツグの主観的なカメラワークやそこから感じる臨場感や緊迫感も見事。

1億総中流社会(大衆)にからの視点

オープニングは渋い語り口から始まり、中流階級に生まれ育ったというバッググラウンドや金持ちの気持ちも貧乏の気持ちもわからないと語る姿は趣を感じました。
一般的に当時は恐らく、中流や普通である事が良いとされる時代ではあるのですが、その声色はそんな社会に対して、違和感を持ち何処か悲しげで自身への戒めを込めているようにさえ感じます。
一億総中流社会といえ当時の政策によって普通であるように、育て上げられたことを揶揄しているようでもありました。
自分自身もその1人でそこに対するやるせなさというか葛藤はあったりもしますので共感しました。

飽和した社会の遣る瀬無さ

見方によりますが、こんなに素敵な世界であるはずなのに何処か物足りなさを感じる時が往々にしてあるのです。
物的な欲求がある程度満たされている世界の是非を語るなどというのは、生意気な餓鬼であるのは理解していますが、生まれ落ちたこの社会に憤りの様な感情を覚えたりもするのです。
非とするならば経済のシナジーが生まれない事や向上心が育たないことでしょう。是とすれば貧困国と自分の比較をすれば明らかです。

工業化社会がもたらしたもの

工業が平等に資産を広げて資本の平等化を図ったいうのは納得の見解でもあり、工業社会進展の示唆というかこの映画の答えは腑に落ちます。
もちろん当時の大衆的に見ればその見解は納得ですが、現在を見るとその産業が落ち着き経済的な優位性のない産業になっていないから貧富が拡大している。
というのが自分の見解でもあります。
逆にいうとビジネス的優位性の罠でありチャンスでもあると思うのです。
だから3dプリントなんかも関心を持っています。

総中流によって失った心の豊かさ

電気が止められても、ロクソクの火が綺麗だからそれも良い。
という趣旨から分かるのは心の豊かさでしょう。
工業化や一億総中流化社会により人々が失ったものは、そういう何気ないものに感情移入して感動することのできる心の豊かさなのかもしれません。

SFでありリアリズムの追求

プロメテウスを例えとして用いるのは先駆的という意のプロ。
考えるという意のメテウス。
であるので工業化社会の揶揄的でありました。
また社会との対立対象としての神話的存在の確率も巧い。
今見るとサイエンスフィクションでありながらのリアリティの追求をも感じます。
SFでもありリアリズムなのかもしれません。

シロツグの変化

冒頭では正装をしないシロツグが変化して喪服による博士への敬意の主張する姿も対比させていて巧いです。

社会作りによって生じた若手クリエイターの葛藤

宇宙飛行の設計の近くでは農作業この対比も揶揄的でありながらもリアリズムの追求なのでしょう。
当時このSFはリアリズムを感じないので自分ごととして思えず共感を得られず、後々評価が高くなっていったのでしょう。
年功序列と成果主義の対比としての組織づくりも巧くて一方でロケット作りに関しては年齢関係なく取り組む姿も夢や希望に年は関係ないと言っているようでした。
制作側が若手というのは、当時の年功序列に苦しみながらも映画作りをしたいという熱のある若手クリエイターの訴えだったように思います。

変化の恐怖とその重要性

宇宙計画は平和を脅かす存在として敵対する組織も描かれますが、変化の重要性として比喩されている夢や希望を追う男たちの生き様も素晴らしいです。

人の存在意義

人は必要だから存在する。
だから存在しなくてはならない。
という哲学的趣旨も散りばめられていて好きでした。
英雄扱いの宇宙飛行士シロツグでありますが、アングラでの抗争や乱発は国政の未熟さも感じます。

オネアミス通貨と貨幣経済

貨幣経済の主体である金との対比としての棒状のオネアミス通貨も貨幣経済はもとより資本主義の揶揄と感じます。
そしてそれが引き金となり巻き起こす戦争。
しかし、それが文化を作り失敗から学ぶという教訓も得ます。
近年試行が進むベーシックインカムなどは芸術や表現の豊かさへつながるのではないかとも思わせました。

まさに命をかけた「男の浪漫」

生死をかけて夢や希望に向かって挑戦する男達の姿は格好良く、そこに年齢は関係ない。
ボスは指示出しを行うだけでリーダーは背中で見せるのであればシロツグの仲間を鼓舞する姿はリーダーそのものです。
徳永英明さんの「夢を信じて」米米CLUBの「浪漫飛行」を感じました。

長い歴史の回想からわかるもの

エンディングの回想が長いのは、長い歴史を比喩しているではないでしょうか。
赤い鉄を叩く演出は若手クリエイターの熱を今使え。
という若手クリエイター達の葛藤と願いだったのかもしれません。

挑戦と叫び

映画もクライマックスでは誇り高い人々として描かれていますが、その奮闘劇は挑戦に次ぐ挑戦でした。
その物語自体も挑戦だが、制作側にとっても自分たちの存在意義の主張という挑戦の作品だったのでしょう。
年功序列によって、好きに映画を作ることができないという葛藤を感じました。
それでも映画を作りたいアニメを作りたいという熱意を感じます。そんなバッグラウンドを知るほど素敵な作品へ昇華してゆきました。

挫折の必要性

しかし、そんな葛藤や挫折はもしかしたら誰しもが持っているかもしれないとも思います。
自分は中学サッカーでした。80人規模の中学にしてはかなりの大人数チームで中2で試合に出てたにも関わらず中3で出れなくなりました。
しかもクラス自体の態度が悪いという理由で。
先生相手には意見できず、どうにも出来ない葛藤がそこにはありました。
その分校高校サッカーでは奮起しました。

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