映画「レジェンド 狂気の美学」1人2役で双子を演じたトム・ハーディの多面的な演技に注目

レジェンド 狂気の美学イギリス
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1人2役で双子を演じたトム・ハーディ。

そんな彼の多面的な演技に注目すべき映画。

ドッペルゲンガー的な相反する双子を1人で演じ、間を束ね人望もありビジネスの才もあるレジー、自己中心的な思考に加え暴力的でビジネスの才もないロンの比較がポイント。

 

おすすめ度

作品情報

制作年 2015年

制作国 イギリス、フランス

上映時間 131分

ジャンル ドラマ、クライム

 

監督

ブライアン・ヘルゲランド

 

キャスト

トム・ハーディ(レジー・クレイ、ロン・クレイ)

エミリー・ブラウニング(フランシス・シェイ)

デビッド・シューリス(レズリー・ペイン)

クリストファー・エクルストン(ニッパー・リード)

 

あらすじ

1960年代初頭のロンドン。

貧しい家庭で生まれ育った双子・レジーとロニーのクレイ兄弟。

彼らは手段は選ばずに裏社会をのしあがり、アメリカのマフィアとの結託や有力者たちとの交流を深めることで、イギリス社会に絶大な影響力を及ぼしていく。

そんな中、部下の妹フランシスと結婚したレジーは彼女のために足を洗うことを決意し、ナイトクラブの経営に力を注ぐようになるが…。

 

感想・考察

1人2役で双子を演じたトム・ハーディ

今作では双子のレジーとロニーをトム・ハーディが1人2役で演じている。

筋骨隆々の肉体に鋭い視線という”ギャングらしい”風貌は配役にベストである。

それにも関わらず、時には無垢そうに愛を育むシーン、時にはジョーク。

そんな彼の多面的な演技に注目すると、彼の1人2役の意義が顕在化されてくる。

 

そんな彼は「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」という映画にも出演しているのだが、この映画はタイトル通り86分をワンカットで撮っているという珍しい作品。

86分間もワンカットで撮影するとなると、俳優のクオリティが物を言うと思うが、そんな作品であっても退屈なく見終える。

それに関しても、彼の演技力の賜物だろうと思う。

 

そして、今作も彼の演技が重点的に描かれる作品になっている。

逆に言えば、彼なしでは全く成り立たない作品であると言ってもいいかもしれない。

だから、彼が好きな方であれば非常に楽しいし、そうでないのであれば映画的に少し物足りなさを感じるかもしれない。

 

ドッペルゲンガー的な相反する双子

「自己像幻視」とも呼ばれる現象、ドッペルゲンガー。

自分の中に天使と悪魔がいるようなアレだ。

 

映画でよくバディものが描かれていて、「メンインブラック」シリーズや「リーサルウェポン」シリーズでは人気のバディ映画だろう。

それもあって、双子といえば親和性があるイメージを持つことも多いかもしれない。

僕はそんなイメージを持っていた。

 

今作のレジーとロニーのクレイ兄弟はギャングであり狂気という共通項はあるかもしれないし、それが親和的なものだとも思える。

しかし、彼らの言動を実際に見てみると全くそんなことはなく、むしろドッペルゲンガー的な関係性を感じる。

というのも、仲間を束ね人望もありビジネスの才もあるレジーに対して、眼鏡が特徴的なロンは自己中心的な思考に加え暴力的でビジネスの才もない。

 

レジーは天使でロンは悪魔。

そんな構図が成り立つ。

ジャケットを見てもそれは明らかで白い背景に覆われているレジー、暗い青に覆われているのはロンだ。

双子であっても結局本質的に交わることがないという、そんな2人の比較が今作のメッセージにも感じるし、見た目が似ていようとも中身は違う。

つまり、見た目は参考にしかならないという寓話的な映画にもなっている。

プライベートも仕事も、なんでも多様性が比喩される現代社会に当てつけたような映画にも見えてくる。

 

ギャングは文化の象徴的な存在

ここからは結構余談になるけれど。

ギャングといえば圧倒的なネガであるけれど、彼の演じるギャングは聡明でスタイリッシュで格好良ささえ覚える。

ロンドンという街が一層そうさせているのかもしれない。

ロンドンといえばファッションをはじめとする現代的な文化と、ビックベン時計塔・ウェストミンスター寺院といった歴史的な建造物が融合している世界的な都市。

そんな都市にもやはりギャングはいたようだし、文化の隆盛には裏社会のエネルギーが欠かせないとさえ思っている。

 

日本はもちろんそうだし、経済大国アメリカ、世界の工場と呼ばれて久しい中国だって、どこにいっても裏社会というのはある。

先日訪れた台湾はもろのそんな文化を感じたし、ギャングにまつわる台湾映画では「モンガに散る」、韓国では「犯罪都市」なんて映画もある。

映画は文化を切り取られることが多いし、文化が映画になっているということもできるかもしれない。

犯罪をテーマにしたフィルムノワールに代表されるように、「ゴッドファーザー」シリーズなどは名作として語り継がれている。

すると、やはり文化と映画は密接だし、中でも裏社会・ギャング・マフィア・などが題材になることが多いのだろうと思う。

 

本でも「最強マフィアの仕事術」「最強スパイの仕事術」など、犯罪がビジネス書に置き換えられることもしばしば。

最近映画化もされビジネス本も出版されている「キングダム」だって元を辿れば一種の抗争であるし、「孫子の兵法」だってそう。

なんにせよ、争いごとから学ぶことはたくさんあるから、本にもなるし映画とも深く関わっている。

すると、「ギャング=ネガ」というスキームのなんだか信憑性に欠ける気さえしてくる。

もちろん経済もそうだけど、文化に与えた影響はとてつもないと思うから。

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