映画「マトリックス」監督・キャスト、あらすじ・感想 仮想現実としての虚構、仮想現実故のリアリティ

20年もの時を超えても、全く色褪せない。

むしろ輝きを増して見える。

目新しい撮影技法に、ハリウッド映画に香港の武術指導者を起用するという斬新の監督の発想。

それらによって縁取られていく、仮想現実としての虚構映画であり現代においては仮想現実故にリアリテイを感じる映画。

そして、代名詞となっている”バレットタイム”

作品情報

制作年 1999年

制作国 アメリカ

上映時間 136分

ジャンル アクション

監督

リリー・ウォシャウスキー

キャスト

キアヌ・リーブス(ネオ)

ローレンス・フィッシュバーン(モーフィアス)

キャリー=アン・モス(トリニティ)

ヒューゴ・ウィービング(エージェント・スミス)

グロリア・フォスター(預言者オラクル)

あらすじ

一流のハッカーとしてネオの異名をもちながらも、プログラマーとして会社に勤めるトーマスアンダーソン。

彼は起床しても、夢の中にいるような不思議な感覚に悩んでいた。

そんな折、彼は美女トリテニティの手引きによってモーフィアスと接触してある事実を知る。

それは、人類が認知している世界はコンピュータによって支配された仮想現実「マトリックス」ということ。

そして、ついに彼は人類の運命をかけて…。

感想・考察

20年の時を超えて

実は初鑑賞となった今作。公開当時の僕はといえば3歳の赤ん坊ですが、そんな時にこれほどの映画が製作されたことに、先ずは驚き。

ストーリーはいたって端的かもしれないが、だからこそ有名な球を避けるシーン”バレットタイム”をはじめとした演出やサイバーパンクな映像美が一層明るくなる。

今作のテーマである「自分の生まれた本当の目的」であったり、「この世界、社会は本物なのか」という疑念。

それは現代において、妙にリアリティを感じる。

というのも、生きる目的を明確にしたところでそれは主観的だし、誰かに告げられたのなら他人のレールを生きているだけだから。

それを裏付ける根拠もなければ、テクノロジーの進歩というのは本当に早くて仮想現実を否定する根拠もないから。

今生きている世界もAIによって作り出されたものかもしれないし、もしかしたら仮想現実であり「マトリックス」かもしれない。

こんなことを言えば、”中二病だ”なんだと言われるのは明白である。

 

しかしなんでこんなことを、思うのかいうのかと言えば、これだけ物的な飽和であったり、ネガティブなニュースばかりがバラまかれる日本において、そう思いたくなるのも確か。

すると、SF的側面がありながらも、現代においてSFには見えない状態になっているから投影できるし、そうしたくなる。

 

会社へ行くのが億劫。お金がないと生きていけない、働かなくては生きていけない。人間関係が面倒。現代を逃避したいことなんて無数にある。紛れもなく自分はそう。

だから、映画を見るのかもしれない。

格好つけて言えば、映画という虚構の中に、自分を研ぎ澄ませ没頭するのかもしれない。

すると、本来の浪漫主義とは意図が逸れるが、今作は現実を避ける一種の浪漫主義的映画とも思えてたりなどする。

 

先ほどのリアリテイとは対極だが、映画というものが虚構であるなら、これは本当に映画的な映画でもある。

すると、今作のSFがより、僕の心を掴むし包括してくれるようにも感じるし、20年の時を超えても色褪せることはないし、むしろ現代にこそ輝いて見える。

上記は完全に個人的な戯事かもしれないけど、今作の4Dバージョンが9月に公開されるのも、現代にこそ見せたい映画であるということを裏付けかもしれない。

香港スタイルにみる、秀逸なアクション

マーベルシリーズをはじめとして現代のアクションやVFXは、当然、超越していし、”この年月でここまで変わるのか”のかと思い知らされる。

しかしながら、今作も現代に劣らないとまでは言い過ぎだが、アクションシーンは非常に見応えがある。

それもそのはず。今作の武術指導をしたのが、香港の映画監督ユエン・ウーピンだから。

彼は、かの有名なジャッキー・チェン主演の映画「ドランク・モンキー/ 酔拳」の監督であり、アクションシーンに定評がある。

個人的に酔拳は非常に好きな映画で幼い頃から何度も鑑賞しているし、その影響もあってか香港映画に惹かれ王家衛の映画にはさらに衝撃を受けている。

話を戻すと、今作の源流とも言えるのが、酔拳であり、ユエン・ウーピンでもあるのだ。

 

当時の所謂ハリウッド映画と言えば、スタントマンを活用することは当然だったようだが、今作はキャスト自身が本格的なアクションシーンに身を投じている。

それをサポートしたのがユエン・ウーピンだが、ハリウッド映画に香港の武術指導をコラボレーションした今作の斬新さと言えば、当時類を見ない作風になっている。

正直、どれほど優れたアクションであってもアメリカと香港が混ざっては、てんてこ舞いというか、ゴタゴタになってしまうと、危惧する。

しかし、今作は違う。

期待を超える程に、アクション自体のクオリティーを向上させ、さらに此方を高揚させてくれるのだ。

 

そして「マトリックス」の代名詞と言えば”バレットタイム”である。

これは別名スライスタイムとも呼ばれ、被写体をスローモーションで捉えながらもカメラ自体は高速で旋回している状態である。(説明が難しいので検索してほしい。)

これが正に先述した端的なストーリーの中にも映像が輝くという所以、これこそが「マトリックス」が観客に魅せてくれた、それである。

さすがユエン・ウーピンそして、起用、監督したウォシャウスキー兄弟と言わざるを得ない。