映画「ダイアナ」監督・キャスト、あらすじ・感想 地位によって浴びる執拗なスポットライト 地位は人の補完要素

映画「ダイアナ」監督・キャスト、あらすじ・感想 地位によって浴びる執拗なスポットライト 地位は人の補完要素

人は人なり。

どんな功績や偉業をなした人でも、それは人以上でも人以下でもなくいということを示唆させてくれる映画です。

国王と結婚した彼女であっても、皇太子の妻というのは彼女を構成する補完要素でしかなく、そこにいたのはダイアナという1人の女性でしかありません。

マスコミの執拗なシャッター、メディアの罵倒、そこに彼女の人権はあるのか。

ということを深く考えさせられます。

作品情報

製作年 2013年

製作国 イギリス

上映時間 113分

ジャンル ドラマ

監督

オリヴァー・ヒルシュビーゲル

キャスト

ナオミ・ワッツ(ダイアナ)

ナビーン・アンドリュー(ハスナット)

あらすじ

1997年に交通事故により36歳の若さで亡くなったダイアナ妃の生活や男性関係を描いた物語。

20歳の若さでチャールズ皇太子と結婚・出産したダイアナ妃は、彼の不倫や王室の規範に疲れ果て離婚。

そんな折に、彼女は心臓外科医のハスナットと出会い、地雷撤去運動など慈善活動に尽力していく。

しかし、彼との関係は…。

感想・考察

ダイアナ妃とは

チャールズ皇太子の最初の妻として、彼の間にウィリアム王子とヘンリー王子を出産したダイアナ妃。

そんな彼女は20世紀に最も影響力のあった伝説的な女性として知られていました。

今作でも取り上げられている地雷撤去運動などの活動家としての側面はもちろん、ファッションアイコンとしても注目を集める言わばカリスマであり、まさにプリンスという言葉が似合うでしょう。

全てにおいて注目の的となる彼女は疲弊し、王室の柵によって翻弄されていきます。

しかし、そんな彼女であっても1人の女性です。

そんな彼女の苦悩と勇気の物語です。

伝説的なアイコンとして

冒頭のカメラワークが見事で対象が振り向くとカメラも引く面白い撮り方でした。

ダイアナ妃に関しては様々な見解があって現実に関わらないとどんな方だったのかはわからないですが、多くの人の目につき多忙な彼女には、様々な葛藤があったんだなというのは理解出来ます。

でも、外的要因によってそれを抑えないといけないなんて、大変な立場だなと思います。

一見華やかな人々というのはそういう葛藤があるんでしょう。

自分はそんな好奇心を押さえ込んで生活なんて耐えられないなと思ったり、生気を感じられませんし。

好奇心と社会の柵

立場や身分に関わらず、人間という前提条件の元で考えれば、人は誰しも好奇心の塊です。

特に生まれ落ちた段階は、ロジックで解明できないほどの好奇心を持っています。

小さな子供を見れば瞭然でしょう。

何事にも興味を持っています。

それとは対象的に、”オトナ”というのは、好奇心が希薄化すると大衆的には考えられていますが、なぜでしょうか。

こちらはロジックで解明できてしまうのです。

既存の教育機関に、一億総中流を目的とした社会規範、スケールメリット的な経済体制。

これらのもたらすのは社会規範という名の好奇心の抑制です。

持って生まれた好奇心という素晴らしい物を、社会によって抑制されてします何て、なんて悲劇な国なのか、という憤りを感じます。

特に日本のそれは凄まじいです。

チャールズ皇太子とハスナットとの表裏

チャールズ皇太子はイギリスでも知らぬほどはいないほどの地位を持っていますが、それとは対象的に表に出ることを躊躇するハスナットの姿が印象的です。

そんなハスナットだからこそダイアナ妃はひかれ恋に落ちたのかもしてれません。

誰もがダイアナ妃を肥大化させて認知してしまいがちですが、ハスナットだけは唯一ダイアナを1人の女性として見てくれています。

ハスナットも言い換えれば、医師である前に本能的に女性に引かれるという性質とも言える感情をもつ人間です。

当然のようでもありますが、実際は簡単なようで地位ある方を等身大で見るのは意外に難しかったりするものです。

しかし、そういう視点でこの物語を見れば、どこか勇気の湧いてくる作品でもあると感じることができます。

遠目に見てしまう職場や学校の人だって、同じ人なんだと。

 

舞台が切り替わる時に、街の情景を遠くから捉えて地名のテロップがでるグラフィックが素敵でした。

最初に思った冒頭のカメラワークが終盤にも出てきてやはりフォーカスした所だから意図があったんだなと。

今までは支援していたけど、亡くなってダイアナから人々が引いて行ったってことを伝えたかったのだと認識しました。

 

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