「難聴というハンデを負ったヒロインを虐めた周囲の更生ストーリー」ではなかった。もっと深く、大きなテーマを扱っていたように思う。
作品情報
制作年 2016年
制作国 日本
上映時間 129分
ジャンル アニメ
監督
山田尚子
キャスト
入江自由(石田将也)
早見沙織(西宮硝子)
悠木碧(西宮結弦)
小野賢章(永束友宏)
あらすじ
退屈することを嫌うガキ大将の少年・石田将也。
彼は転校生の少女・西宮硝子へ好奇心を抱き、硝子の存在のおかげで退屈な日々から解放される。
しかし、硝子との間に起こったある出来事をきっかけに、将也は周囲から孤立していく。それから5年。
心を閉ざして生き、高校生になった将也は、いまは別の学校へ通う硝子のもとを訪れるが…。
感想・考察
只の難聴というハンデを負ったヒロインを虐めた周囲の更生ストーリーではなかった。もっと深く大きなテーマだった。
ガキ大将のショウヤとその小学校に転校してきた難聴のショウコの物語。上手くコミュニケーションが取れないショウコは周りに馴染めず孤立しイジメを受けてしまいます。数年後に再開し、ショウヤの視点をベースにそれぞれの人間模様が描かれている。
オープニングはザローリングストーンズやビートルズと並び有名なザ・フーのマイジェネレーション。渋い。けどこの映画に相性悪くないか。
このタイトルのコピー素晴らしい。声じゃなくて聲なんだなあ。などと思い、聲は打ち鳴らして届けたいとか自然音の響きで声ではないんだなというところがポイントだと思ったんだけど、それに加えて物語が進んでいくにつれて更に色々考えさせられて深かった。
開始30分くらいまでは難聴のショウコをいじめてしまった周り数人の更生するストーリーだと思ったけど、どうやらそんな簡単な話ではなかった模様。
ここでのテーマはコミュニケーションであり、聲の形です。またそれらやコミュニティ(学校、家庭)の重要性を説いていたように感じました。そしてポイントは鯉の橋であってそこが2人の所謂サードプレイスだったのでしょう。
ショウヤの抱えた嫌悪感や自己否定と、それに向き合い昇華していく姿やキャラクター設定が細部まで徹底されてよりリアリティを感じた。
勿論子供が見ても楽しめるかも知れないけども、どちらかというとかなり心情が入り組んでいて大人向けの映画という印象。
注目して欲しいのはストーリー性やキャラクター設定、テーマの深さあたりです。グラフィック的にはそこまで斬新さや新規性は感じなかった。