映画「フィールド・オブ・ドリームス 」監督・キャスト、あらすじ・感想 映画は虚構と感じさせる逆張りな作風

映画「フィールド・オブ・ドリームス 」監督・キャスト、あらすじ・感想 映画は虚構と感じさせる逆張りな作風

農家の源泉であるとうもろこし畑を野球場に変えてしまう主人公。

それも天の声に導かれたという理由で。

そんなファンタジックな作風が映画的。

そして、あくまで映画は虚構だと、度々感じさせてくれる「ここは天国かい?」という、逆張り的なメッセージが面白く楽しい。

作品情報

制作年 1990年

制作国 アメリカ

上映時間 107分

ジャンル ドラマ

監督

フィル・アルデン・ロビンソン

キャスト

ケヴィン・コスナー(レイ・キンセラ)

ギャビー・ホフマン(カリン・キンセラ)

エイミー・マディガン(アニー・キンセラ)

あらすじ

広大なとうもろこし畑を営むレイは、妻と娘とささやかながら幸せな日々を送っていた。

ある春の日の夕暮れ、彼の人生を一変させる“声”を聞く。

「畑をつぶして野球場を作れば、彼が帰ってくる」…?。

そこから彼の数奇な物語が始まる。

感想・考察

農家にとっての源泉である畑を野球場に

主人公レイはとうもろこし畑を営んでいた。

”営む”ということは、まさしくそれが収入源であり、実際妻と娘が生きるためにかかるお金はそこから生み出されている。

それを野球場に変えてしまうというのは、どれほど困難で意味不明な決意か。

それほど、天の声は疑う余地もなく神秘的で高貴。

 

一見ばかばかしくも思えるかも知れない。

当然、現実主義者であるレイの周辺の人々が彼をばかばかしく思うのも当然であって、ファンタジーとはいえ自分も少しばかりそう思っていたのが正直なところ。

しかし、それをレイの信念が変えていく姿が勇ましくも見えてくる。

見ている自分も含め、レイが周りの人々をも変えてしまう点に、今作の楽しさはある。

 

現実主義な自分をファンタジックな世界に誘うのは時間の問題だった。

中盤にはすでにレイを応援したい気持ちになったのは言うまでもない。

ここは天国かい?

度々出でくるこのフレーズに、レイは正直に答える。

「アイオアだよ」と。

 

作中の過去を生きた人物たちが「ここは天国?」と感じるように、観客も映画を天国のように感じているのかも知れない。

映画という虚構に魅せられて、錯覚し、堪能し、そして映画が終われば再び現実に戻る。

そんな現実世界ではない世界に誘ってくれるから映画は面白いのかも知れない。

現実社会に疲れた時には、映画の中に癒しを求めているのかも知れない。

宗教やお金、物、何かにすがるのは逃避したいからかも知れない。

映画は逃避行を助けるツールだとも思う。

 

つまり、映画の中に虚構という夢を見ているということ。

一般的な映画なら、それを見ている時は、映画が夢物語ではなく夢を魅せてくれる。

言い換えれば、映画というその虚構の中に閉じ込めてくれる。

 

しかし、今作はあえて、「ここは天国かい?」と目を覚まさせる。作中であれば夢を見ている野球のプレイヤーを、観客には映画で夢を見ている僕を。

実に映画的な作風

今作に派手さはなく、一般的に面白いと思われる作風ではないかも知れない。

それでも、高い評価を得ているのは、とても映画的な映画だからではないだろうか。

映画的というのは、先ほどのように映画をあえて虚構と認識させてくれること。

 

すごい映画はたくさんある。

派手な演出や巧妙な脚本、豪華なキャスト、美しい映像。

確かに、どれも映画である。

だけれど、映画すぎる気もする。

それはエンターテイメント性が強く、どこか金儲けの一環として作られた映画であり虚構すぎるということ。

 

もちろん、それはそれで楽しく面白く良い映画だ。

しかし、あえて淡々と進み、虚構であることを想起させてくれる今作の逆張り的な作風もまた面白く楽かったりする。

 

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