AKIRAやらパプリカやら凄いと思いましたが、アニメーションは一番凄いと思う作品でした。
荒廃した街の中にも新たなビジネス性や成長性を見出していて、現在の日本各地の街を比喩していて、テーマ設定も素晴らしい。
作品情報
制作年 2006年
制作国 日本
上映時間 111分
ジャンル アニメ
監督
マイケル・アリアス
キャスト
二宮和也(クロ)
蒼井優(シロ)
伊勢谷友介
宮藤官九郎
大森南朋
本木雅弘
あらすじ
義理人情とヤクザが蔓延る町・宝町。
そこに住む「ネコ」と呼ばれる少年・クロとシロは、驚異的な身体能力で街の中を飛び回り恐れられていた。
ある日、開発という名の地上げでヤクザ、3人組の殺し屋、蛇という名乗る男が現れる。
更に、建設プロジェクトが立ち上げられる事になり、町は不穏な空気に包まれる。
感想・考察
声優陣と原作
豪華声優陣が見ものです。
窪塚洋介が好きなので映画化された「PINPON!」は鑑賞しましたが、それも今作の原作者松本大洋さんの作品とのこと。
それとは全く違う類の作品でしたが楽しめました。
人と街と
主役はクロとシロというのは当然なのですが、それと同等に街が主体性を持って映し出されているように感じます。
一番の主役は街そのものなのかも知れません。
異様でも心地よい世界観
日本でも海外でもない。
1つに言い表すことはできないような色んな要素が混ざった世界観は圧巻です。ビジネス用語でグローカルというのがあるけれどリアルで存在したらこんな形なのかな。
グローバルでもありローカルでもある世界で、日本の下町と台湾の龍山寺付近が混ざった感じかなあ。
腐敗した工場跡やコンクリートが転がる風景はアメリカのデトロイトも感じる。
邦画だと「always三丁目の夕日」シリーズを思わせます。
変化か衰退か
育った街への恩恵を継承するか。
それを変えるか。というのは命題的には答えが出ないものだろうと思いますが、変えなくれば衰退、破滅が待っているとは思います。
落ち込んでるままでは街に殺される。
物事の変化に否定的なのは歳のせいか?というのも腑に落ちる表現でした。
そんなことを思う人々の中でも穢れのない心で人や街を見るシロの無垢な姿が何処か切なくもあります。
だからシロは街の行く末を悟っていたのだろう。でも神を信じているところは不思議ではある。
マッチの効果音とかカメラワークなんかも面白い。凄い。
補完と影と光
シロが去ってから心情の変わったクロは太陰太極図いわゆる陰陽マークの服をきていましたが、せめて心や服ではシロを感じていたいという現れなのでしょう。
どうなることかと思いましたが、それぞれの心のネジを埋め合いハッピーエンドで良かった。
2人はこれからも力強く素直に生きて行くのでしょう。
エンディングは予想通りでした。
2人の成長を比喩する存在としての林檎。兎に角アニメーションとして素晴らしく、テーマ設定も巧いです。良い作品でした。
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