映画「女王陛下のお気に入り」監督・キャスト、あらすじ・感想 斬新なカメラワークと女性3人の泥沼

新規的で斬新なカメラワークから映し出される18世紀イギリスの偉観と女性の人間模様。

作品情報

製作年 2018年

製作国 アイルランド、アメリカ、イギリス

上映時間 120分

ジャンル ドラマ

受賞歴 アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、ヴェネツィア国際映画祭

監督

ヨルゴス・ランティモス

キャスト

・オリビア・コールマン(アン王女)

・エマ・ストーン(アビゲイル)

・レイチェル・ワイズ(サラ)

・ニコラス・ホルト(ロバート)

あらすじ

18世紀初頭、イングランドはフランスと戦争下にあった。女王アンの幼なじみサラは、アンを動かし権力を握っていた。

そんな中、没落した貴族の娘でサラの従妹にあたるアビゲイルが宮廷に現れる。サラの働きかけによって、アビゲイルをアン女王の侍女として仕えることになる。

サラはアビゲイルを支配下に置くが、一方でアビゲイルは再び貴族の地位に返り咲く機会を狙っていた。女王のお気に入りになることでチャンスをつかもうとするアビゲイルだったが…。

感想・考察

ララランドで脚光を浴びたエマストーンの出演作

権力争いというと男性のイメージが強かったが、3人の女性を中心に描かれるこの作品で、ドロ沼の女性同士の権力争いが個人的に斬新だった。しかしなんといっても見所は広角レンズを使った希少な撮影技法だと。特に開始数分で広角レンズから映し出されるカットに注目。

画面サイズは同じだけど広角によって角度が付いて画面上が詰まる感じ。窮屈で歪んだイギリス王室の人間模様や没落した生活から抜け出すために葛藤するアビゲイルの姿が比喩的に、広角という手法で表現されていたようであったりと感じた。広角で画面越しに詰め込まれた人々の小ささとは対照的に戦争というテーマのネガティブな意味合いでの壮大さや、資本のため増税を行う王室とは対照的にそれに苦しむ市民の意見の機微なども。虐待的なウサギ効果もあり人間の腹黒さが間接的に触れられていた。

ミニシアターということもあってか画質はそれなりに感じたけど、全体を通してイギリス王室細部や外観、自然のグラフィックは素晴らしく、数々の賞を獲得したのも頷けました。和訳は直訳すると違う言葉なんだけど、うまい具合に訳されていて、そんな微妙な仕掛けが気に入った。

自分の歴史に対する教養が浅いせいもあり脚本はわかりにくく、脚本に加え牛肉の使い方やら儀式的に使われていた糸で吊るされた物体やらと文化的な側面も腑に落ちないシーンが多々あった。

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