同じくジェームズ・ディーンが主演を務める「理由なき犯行」では間接的に反抗が描かれていましたが、ここにあったのは顕在化された反抗。
寓話的な締め括りも後を引くような。
作品情報
製作年 1955年
製作国 アメリカ
上映時間 115分
ジャンル ドラマ
監督
エリア・カザン
キャスト
ジェームズ・ディーン(キャル・トラスク)
ジェリー・ハリス(エイプラ)
レイモンド・マッセイ(アダム・トラスク)
ジョー・バン・フリート(ケート)
あらすじ
1917年、カリフォルニア州。
モントレーへ汽車の無賃乗車で出かけるキャルは、そこで売春宿を経営しているケートという女性が自分の母親ではないかと考え、様子を探りに行く。
父親に真実を教えるよう迫っても、母親は死んだのだと言うばかり。
そして、彼女は自分が母親だということを否定。
しかし、両親の古くからの友人であるクーパー保安官から見せられた写真には確かにケートが写っていた…。
感想・考察
ここにあったのは理由のある反抗と成長
「理由なき反抗」に続き、ジェームズ・ディーン見たさに観賞です。理由なき反抗では、タイトルの通り少年少女の目に見えない反抗が描かれている訳ですが、こちらでは開始早々に少年の反抗や犯罪が連なり、そういった意味では対極的なのかなという滑り出し。
というのも、ジェームズ・ディーン演じるキャルはある秘密を探るため無賃乗車、彼の父の事業に大切な氷を粉砕などを犯すから。しかし、どちらの作品においても人情は大概同じようで、どちらの作品も身勝手な大人に対する若気の憤りが炸裂します。それから終盤に至るまでの怒涛の展開に人間ドラマは目を離せません。それでも、最後の最後には、父の痛みを感じて成長したキャルがしんみりと、余韻を残してくれます。
ジェームズ・ディーンの表現すること
いわゆる大人になった人は、青春時代にしか感じることのできない熱い思い出を思い返すことがあるはずかなと。僕であればサッカーなのですが、今サッカーをしてもあの時ほど熱い気持ちではできないし、他の物事でもあれ以上に熱くなれるものは今後ないのかなと思って今します。そう思うと悲しくもあり、当時の物事が一層輝いても思えてくる訳です。そんなことも思わせてくれる青春な映画です。
この映画では、ジェームズ・ディーン演じるキャルが父を思う姿が戦争の揶揄を強めます。戦争によって事業の先行きが不透明になった父親、彼のお金の心配をするキャルの姿が生々しく、健気に映し出されています。また、その父親は宗教に詳しいのだけれど、それよりも自分自身を大切にする的なことを息子キャルから最後の最後で教えてもらう姿が寓話的でありました。