映画「エンドレス・ポエトリー」監督・キャスト、あらすじ・感想 芸術の定義と家族による抑制が招く儚さ

芸術的とは何かと言われても定義するのは難しいように、こと映画は良くも悪くもつかみどころがなく芸術的だと感じました。

抑圧的な両親との葛藤が人との出逢いによって昇華されていきます。

作品情報

制作年 2017年

制作国 フランス

上映時間 128分

ジャンル ドラマ

監督

アレハンドロ・ホドロフスキー

キャスト

アダン・ホドロフスキー(アレハンドロ)

パメラ・フローレス(サラ)

プロティス・ホドロフスキー(ハイメ)

イェレミアス・ハースコヴィッツ(アレハンドロ少年期)

あらすじ

アレハンドロは抑圧的な両親とそれによって自信をなくし葛藤するも、なかなか現状を変える事ができない。

そんな折に彼は従兄弟のリカルドの誘いを受け、ある芸術家の家を訪れる。

そこは古いしきたりに縛られる事なく様々なアーティストが共同生活を送っていた…。

感想・考察

抑圧に対抗する自己顕示欲

ジャケットのコピー良いなあ。数文字で的確にテーマを捉えています。腸が飛び出したりちょいグロで意外でした。

父親からの抑圧で詩を書きたいという本心とは裏腹に、生物学や医学を学んで医者になれと。大体の過程でこんなやり取りはありそうです。親が子の収入を心配して高収入を望むのは愛のようで愛でないのでしょう。

視覚的娯楽性 ミュージカルチックな演出で”敢えて”見せる

視覚的な演出も勿論ですが、ミュージカル要素の多い音楽やファッションもヴィンテージスーツなんかを巧く表現していておしゃれです。

ミュージカル要素が強いので舞台感があるなーと思ったら、小道具を渡す役の人なんかもいて、もろ舞台でした。ここまで舞台要素を具体化してる映画はなかなかないと思われます。

論理的な父は恐怖がさらに被害を拡大を産むという考えなので合理的でありつつも感情論を蔑ろにしてる点は確かに巧く抑圧的な父親の姿を写しています。

自分の影を恐れない、目的は本来の自分に戻ることが大切でアレハンドロの趣向は実に現代的です。抑圧的だから、その葛藤を詩に書いたり踊ったり歌ったりと表現することができたのでしょう。芸術が自己表現だとすれば正にそれです。それ故に自由を感じたことで、更に成長を感じるアレハンドロの姿は愉快でありつつ切なさもあります。

背が低くて捨てられるという女性も、それでも君は君だというアレハンドロの言葉で解放されていくので、言葉のパワーを感じることができます。

タイトルの意味とそれに隠されたアーティスティック

ラストの言葉達も素敵でした。何も与えないことで全てをくれた。愛さないことで愛の必要性を教えてくれた。両親がここまで考えての教育だったとは言えませんが、自己主張によっては自分を見つけられたアレハンドロにとってはそれはそれで良い教育だったのかもしれません。

ポエトリーの名の通り終始詩を読み続ける物語でした。グロさやミュージカル要素はあまりハマりませんでしたが、芸術が創造であるとすれば分からないことこそが芸術なので伝えたかったことも抽象的で分からないことがこの物語の解なのかも知れません。