映画「レオン」監督・キャスト、あらすじ・感想 リュック・ベッソンの挑戦的な作風が観客を引きつける

映画「レオン」のオリジナルイラスト

リュック・ベッソンがハリウッド初監督を果たした作品であり、彼の代名詞となった映画「レオン 」。観客の好奇心を煽り、酷とも言える少女マチルダの将来を暗示させるかのようなカメラワークは見事。そして失敗や批判を厭わずに、映画作りに勤しむリュック・ベッソンの挑戦的な作風に引き込まれる。

さらに今作でレオンを演じる、ジャン・レノは、地位を確固たるものにしたのも今作でしょう。そしてビジュアル、演技力ともにオスカーの中でも代表的な女優として名高いナタリー・ポートマン。12歳の彼女がマチルダ役として鮮烈なデビューを飾り、現在の活躍における原点的になったのも「レオン」。

作品情報

制作年 1994年

制作国 フランス、アメリカ

上映時間 110分

ジャンル ドラマ

受賞歴 日本アカデミー賞

監督

リュック・ベッソン

キャスト

ジャン・レノ(レオン)

ナタリー・ポートマン(マチルダ)

ゲイリー・オールドマン(ノーマン・スタンフィールド)

ダニー・アイエロ(トニー)

あらすじ

ニューヨークの古いアパートに身を置き、殺しを生業とするレオン。そんな彼の近くに住んでいる12歳の少女マチルダと、その家族。ある日、マチルダの家族はドラッグを巡り惨殺されてしまう。しかし家を空けていたマチルダは難を逃れる。レオンを殺し屋だと知ったマチルダは、彼に殺し屋に育ててほしいと懇願。そして2人の異様な共同生活が始まるが…。

感想・考察

好奇心と将来を暗示させる秀逸なカメラワーク

映画の印象を大きく左右する要素の1つに挙げられるのがカメラワーク。もともと前評判の良い作品だけでに、期待して見始めた訳だが、やはり冒頭のカメラワークで一気に引き込まれた。

実際にレオンが話すときはレオンの口に、カメラはフォーカスする。またレオンが相手を覗きこむときには、相手視点でレオンのサングラスにカメラが移る。といった具合。

そしてカメラがサングラスに寄っているにも関わらず、サングラスの内側が見えないところが味噌。これにより観客は、これから始まる物語へ好奇心を煽られる。それと同時にこのシーンは殺し屋の世界、つまりマチルダとレオンの酷な将来を暗示させるかのようなシーン・入り口にもなっている。

こういった観客の好奇心を煽るような作りが「レオン」の見事な点。実際に恐怖心を煽られることで少し億劫な気持ちにさせるけど、それがまた好奇心を煽り、膨らませてくれる要因でもある。

また完全版ではレオンとマチルダの性的、恋愛的なシーンや銃の訓練で殺害するというショッキングなシーンもあるらしい(完全版は見てません)。このカメラワークは、殺し屋になることを望む12歳の少女と180cm後半もある大柄な殺し屋が展開する酷な将来を暗示させるものなのかもしれない。

今回鑑賞したのは完全版ではないので過激な描写はさほどないので、完全版であれば冒頭のカメラワークが一層活きてくるのかもしれない。

リュック・ベッソンの構成するアジアの要素

リュック・ベッソンの代名詞といえば「レオン」な訳ですが、その他にも「ルーシー/LUCY」や「ダニー・ザ・ドッグ」など、たくさんの映画がある。これらの映画では、アジア系ヤクザやゴロつきといった闇組織、台湾や香港を彷彿とさせるギラギラと光りチープな印象を与るネオン感のある色彩、アジア人俳優の起用、といった具合にアジア系の要素で構成されることが多い。

さらにレオン役のジャン・レノと広末涼子が共演する映画「WASABI」は、リュック・ベッソンがプロデューサーを努め完成させた作品。こちらではタイトルや衣装はもちろん、広末涼子のギャル風のメイクやファッションなど、いわゆるジャパニーズカルチャーがたくさん取り入れられている。

こう言った点から、リュック・ベッソンはアジアに関心があるのかと感じている。そのせいか今サイトでもリュック・ベッソン作品はたくさん取り上げさせてもらっているし、彼の作品は日本人にとって、どこか心地よい作品なのかもしれない。実際に周りの映画ファンの中でも、好きな監督にリュック・ベッソン、好きな作品に「レオン」を上げる方が多い印象を持っている。

リュック・ベッソンの挑戦的な作風が観客を引きつける

先にご紹介したようにリュック・ベッソンの関わる作品にはアジアからインスパイアされていることが多いように感じている。そこから思うのが、彼は好奇心が旺盛で勤勉な映画人ということ。またそれによって彼の映画は、挑戦的な作風に仕上がるということ。

「レオン」の前身となったと言われている「ニキータ」、「レオン」の後の「コロンビアーナ」と「ルーシー/LUCY」、最新作の「ANNA/アナ」。これらの作品は、ある種女性の成長ストーリーであり、女性が主人公のスパイアクションだが、こういった趣向の作品は他ではあまり見れない。実際にスパイ映画やアクション映画は圧倒的に男性俳優が演じることが多い。そこであえて女性視点で描く点が、リュック・ベッソンを挑戦的な作風であると感じる点であり、面白い映画と思う要因かもしれない。

他にも今作ではマチルダが「テルマとルイーズは〜」(映画「テルマ&ルイーズ」のこと)と言ったり、マドンナの「material girl」を歌ったり、チャップリンの真似をしたりというシーンがある。これも彼が勤勉だと思う理由であり、良い作品を作ろうとする姿勢がうかがえる。だから彼の作品は観客が意図していようがいまいが惹きつけるパワーを持っているのだろうし、僕も彼の作品に1人の観客として引きつけられた。

一方で挑戦することで失敗も必ず付いて回るのも事実で、「ルーシー/LUCY」や「WASABI」は確かに酷評。ただ彼が映画人として、映画というアーティファクトを生み出すためには、失敗を厭わないこの姿勢こそが重要であるのは間違いない。この姿勢を持っているからこそ、結果的に「レオン」は高い評価を受けているのかもしれない。酷評も厭わず作品を完成させる、彼の挑戦的な作風に引かれる。