映画「マシニスト」監督・キャスト、あらすじ・感想 クリスチャン・ベールの役作りに感嘆

映画「マシニスト」監督・キャスト、あらすじ・感想 クリスチャン・ベールの役作りに感嘆

クリストファー・ノーラン監督作「メメント」やデビット・フィンチャー監督作「ファイトクラブ」に似ているという声も多数の今作。

クリスチャン・ベールの役作りには感嘆するが、賛否理由はサスペンス的な”騙し”の効果とジャケットの引きの強さが起因しているだろう。

あくまでサスペンス映画といえば”騙される”から面白いのだと思う。

しかし、陰湿な雰囲気を醸す薄暗い世界観とカメラワークは絶品だ。

作品情報

制作年 2004年

制作国 スペイン、アメリカ

上映時間 102分

ジャンル スリラー、サスペンス

監督

ブラッド・アンダーソン

キャスト

クリスチャン・ベール(トレヴァー)

マイケル・アイアンサイド(ミラー)

ジョン・シャリアン(アイヴァン)

ジェニファー・ジェイソン・リー(スティーヴィー)

アイタナ・サンチョス=ギレン(マリア)

あらすじ

工場で機械工として働くトレヴァーは、原因不明の不眠症で365日眠っておらず異常な程痩せ細っている。

ある日、彼はアイヴァンと名乗る大男と出会う。

その日から奇妙な事件が次々と起こり、工場ではアイヴァンに気を取られたトレヴァーの不注意で、同僚のミラーが片腕を失ってしまう。

トレヴァーはカフェのウェイトレス・マリアと、彼女の息子と共に遊園地に行くが、そこでも少年が持病の癲癇で倒れる奇妙な事故が起こる。

そして今度はトレヴァーが作業中に腕を切断しそうになり…。

感想・考察

クリスチャン・ベールの役作りには感嘆 賛否の訳

今作において特筆すべきは、やはりクリスチャン・ベールの体づくり。

365日寝ていない主人公を演じるために、ツナ缶とりんごそれぞれ一つずつで過ごしていたそう。

どれぐらいの期間、その生活をしていたのかは明らかではないけれど、作中の彼の姿を見れば数日のレベルではないのは明らかだろう。

そんな彼の体づくりには、「これぞ役者」という痛烈な想い感じる。

正に、命を張って役を演じている。

映画としては賛否あるのは承知の上だけれど、彼の想いだけを汲んでも、この映画は一見の価値はあるのではないかと。

基本的に映画を中断することはないけれど、今作は開始すぐさま見終える決意をしていた。

 

そして、感激や感動ではななく敢えて”感嘆”という言葉を使いたかったのは、クリスチャン・ベールの体が嘆くほどに痛々しい姿になってしまっていたから。

ジャケットを見てもらっても、その痛々しさは見て取るようにわかるはず。

かなり引きの強いジャケットになっているので、一種のホラー映画のジャケットのようにも見えたりなど。

賛否が極端に分かれているのも、ジャケットの引きの強さが一つの要因であるのは間違いないだろう。

更にサスペンス的な”騙し”の効果も薄いかも知れない。

あくまでサスペンス映画といえば”騙される”から面白いのだと思う。

サスペンス映画は”騙される”から面白い

サスペンスといえば”騙される”が醍醐味かもしれないし、実際に高い評価を得ているサスペンス映画は”騙し”のプロセスが絶妙だと思う。

その点、今作は”騙される”という意味では少し薄いかも知れない。

というのも、ラストが大枠予想できてしまうからだ。

すると、極上のサスペンス映画ではないかも知れない。

 

しかし、サスペンスという面では物足りなさを感じるかも知れないけれど、映画としては非常に満足している。

先ほどの、クリスチャン・ベールの役作りもそうだし、陰湿な世界観にカメラワークなんかも素晴らしく、アーティステックな作風がある。

陰湿な雰囲気を醸す薄暗い世界観とカメラワーク

今作はクリストファー・ノーラン監督作の「メメント」やデビット・フィンチャー監督作の「ファイトクラブ」に類似性があるという意見が多いようで、自分はこの2人の監督が好きなので、今作がピタリとハマったのかもしれない。

実際、この2人は巨匠というに相応しい監督であるし、その点は異論のある方は少ないだろう。

なので、それらに類似性があるというのはブラッド・アンダーソン監督も今作も期待値は当然上がる事になる。

 

ストーリーの面では「メメント」のノーラン的なものを、色使いや世界観の面では「ドラゴンタトゥーの女」のフィンチャー的なものを感じた。

サスペンスらしい薄暗い世界感は引き込まれるので画面から目が離せなく、それを更にサスペンス的な緊迫感あるものにしてくれるカメラワークも絶品だ。

 

中でも、陰湿な雰囲気を醸し出すのが異様に巧く、これを狙って出していくのだから単純に”凄い”と感じてしまう。

その点は確かに、クリストファー・ノーラン監督やデビット・フィンチャー監督的な”映画づくり”を感じる。

それは何かと言われても中々難しいけれども、その言語化できない何かがあるから映画はより面白く感じる。

 

最近見た「アルキメデスの大戦」(近いうちに書きます)では、菅田将暉が数字が大好きな青年を演じており、数字こそ絶対的存在で、それこそが全てを解き明かす鍵になると信じている。

「数字は嘘を使いない」この台詞が頭に残っているのだけれど、この台詞がそれを物語っている。

実際、自分もマネジメントやらなんやらとやらせて頂いていたし、これからもそういう役職でいくつもりなので、数字の有用性や重要性は理解しているつもり。

だけれど、数字やデータ、ロジックだけで表せない大切なことがたくさんあって、それが映画に組み込まれているから、今作は面白い。

 

逆に先日の「青いパパイヤの香り」はロジカルな作品であると感じた。

それもロジカルに感情的に訴求してくるのだから凄い。

 

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