映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」監督・キャスト、あらすじ・感想 報道の自由か政府の陰謀か

度々映画に取り上げられるベトナム戦争だが、それだけアメリカにとって記憶に残る出来事というのは明白。

報道の自由と政府の陰謀を対比させて進む物語には教養的な側面が強く、フェミニズム的なメッセージも感じることのできる作品。

作品情報

制作年 2017年

制作国 アメリカ

上映時間 116分

ジャンル ドラマ

監督

スティーブン・スピルバーグ

キャスト

トム・ハンクス(ベン・ブラッドリー)

メリル・ストリーブ(キャサリン・グラハム)

サラ・ポールソン(トニー・ブラッドリー)

ボブ・オデンカーク(ベン・バグディキアン)

トレイシー・レッツ(フリッツ・ビーブ)

あらすじ

1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。
国防総省はベトナム戦争について調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。
ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープしたが…。

感想・考察

度々映画に取り上げられるベトナム戦争

今作はベトナム戦争に関係する最高機密文章(ペンタゴン・ペーパーズ)について、新聞社と政府機関の視点をベースに描かれている。

ベトナム戦争といえば、「バーディ」や「7月4日に生まれて」、「プライベート・ライアン」など、それに因んだ映画は沢山撮られている。

 

「バーディ」ではベトナム戦争によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)をおった青年とその友人を軸にして物語が進む。

「7月4日に生まれて」では、トム・クルーズが主演を務め、ベトナム戦争後の後遺症や軍人と世間の乖離について描かれる。ちなみに7月4日は僕の誕生日である(どうでもいい)。

「プライベート・ライアン」は、今作同様にベトナム戦争を題材としおり、巨匠スティーブン・スピルバーグが監督を務めている。

 

主観的には”LGBT”に関する映画は近年たくさん撮られているけれども、ある出来事のフォーカスして撮られている映画は他に類を見ない気もする。

それだけ、アメリカはもちろん世界的に記憶に残る出来事だったということは明白である。

 

一般的に20年間にも渡り繰り広げられたというベトナム戦争だが、僕はこれらの映画を見るまで全くその出来事の知見がなかった。

というのも、僕は歴史の授業に関心を抱くことが出来ずに学生時代を過ごしてきたから。

しかし、映画を見るようになって歴史の重要性に気付いたりしているのだけれど、もう過ぎてしまったので、映画を見ながら勉強しているようなところもある。

そして、そういう教養的な気づきを与えてくれる映画とうものも、また凄いエネルギッシュな存在だと感じている。

 

また、映画の楽しみ方は人それぞれなのだけれど、歴史を知っていると映画が俄然面白くなる。

食事やファッションなどカルチャーも知っておくと尚面白い。

だから、映画の教養的な側面に僕は注目したいと思っている。

報道の自由と政府の陰謀

今作は、新聞社の持つ”報道の自由”と”政府の陰謀”が対になって物語が進行する。

そもそも、いくら個人が尊重され透明な政治やビジネスが流行したところで、資本主義的な側面の強い現代は、政府にかかわらず陰謀が渦を巻いている。

言い換えれば、報道の自由という名目であれ、結局は操作されているということになる。

このような陰謀には必ずと言っても過言ではないほどに、”お金”の問題が付いて回る。

 

結局、お金を使っている時点で、すでに僕たちは何らかの陰謀の中の一部なのかもしれない。

お金は中央集権的なものであり、一般民はそれに従わざるを得ないから。

でも、ちょうど今はそれが変わる過渡期。

仮想通貨や暗号通貨と呼ばれる中央集権的ではない仕組みを持った”お金”の登場によって、長い歴史のあるお金の在り方が変わろうとしている。

 

これは、長い歴史上で最も大きな出来事の1つかもしれない。

歴史という歴史のある時代には必ずと言っていいほど中央集権的な政府が存在し、お金を操作していたのだけれど、それがこれから変わる(かもしれない)。

まだまだ、導入の段階ではあるかもしれないけれど、その有用性は確かに証明されているし、僕が生きているうちには本格的に導入されていくだろう。

 

でも、この映画を見ると、それさえも操作されて民間に降りてきた報道なのではないのかと思わされる。

実際、中央集権に不満のある民間を押さえ込むために、地方分権や多元的というワードで仮想通貨や暗号通貨を推し進めて、それさえも操作しているのかもしれない。

 

また、日本は報道の自由のランキングが世界72位でG7のうち最下位と言われている。

この手のランキングほど抽象的なもないのだけれど、そんな日本人だから見るに値する気もしている。

さらに、今作がトランプ政権のフェイクニュース問題に対するメッセージをも孕んでいると思えば尚面白くなってくる。

フェミニズムを象徴させるメリル・ストリーブ演じるキャサリン・グラハム

今作のポイントであるのは、主演なので当たり前なのだけれど、間違いなくメリル・ストリーブ演じるキャサリン・グラハム。

それも、映画の中でキーになるのはもちろん、現代のパワーワードの1つである”フェミニズム”の象徴として彼女を映画の中で起用し追求している。

「女性が社主だと投資家が動かない」というのはまさに性差別的なワードで、他にもそのような言動がいくつか。

そんな、キャサリン・グラハムはもちろん女性の鬱憤や葛藤も効果的に描かれている。

 

単に役作りとして彼女を起用したのはもちろんなのだが、彼女のアカデミー賞やゴールデングローブ賞といった受賞歴、4人の子持ちながら仕事でも確かな実績の残すキャリア的な側面と、フェミニズムを象徴する存在として起用していると感じている。

なので、これは単純に演技・役者としてのクオリティをも飛び越えた1人の女性を代表するように彼女が勤めているのだろう。

 

フェミニズムに関しては「美女と野獣」や「ドラゴンタトゥーの女」でも書いているけれど、後者は特におすすめの作品。

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