映画「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」監督・キャスト、あらすじ・感想 少年時代を想起させる物語

正直なところ、僕の中学・高校時代はもっと破茶滅茶だった。

悪さ自慢をするヤンキーのようだけれど、イタズラが本当に毎日面白すぎた。

そんな懐かしの学生時代を想起させてくれる物語。

警察官と美人妻という構図も1970年代らしくて文化的な側面も、楽しい。

作品情報

制作年 2008年

制作国 日本

上映時間 110分

ジャンル ドラマ、コメディ

 

監督

塚本連平

キャスト

市原隼人(ママチャリ)

佐々木蔵之介(駐在さん)

麻生久美子(加奈子)

石田卓也(西条)

加地将樹(孝昭)

賀来賢人(グレート井上)

あらすじ

1979年、栃木県の田舎町が舞台。

ママチャリ率いる7人は、気ままな”イタズラライフ”高校生活を送っていた。

ところが、彼らの前に現れたのはイタズラに怯まない駐在さん。

そんな駐在さんに熱くなったママチャリたちは、さらなるイタズラを仕掛ける。

しかも、駐在さんには、町一番の美人妻。

かくして、田舎の町を舞台に駐在さんとママチャリたちの戦いが幕を開ける。

感想・考察

警察官と美人妻という昔ながらの構図

1970年代が舞台ということで、街並みはもちろん価値観的なものまで、うまく再現されている。(ように感じる。自分の父親世代なので詳しくは知らないけれど)

今作における重要な人物が、駐在さんの奥さんだ。

 

イタズラを起こすママチャリとそれを抑制する駐在さんという、対極的な人物像を互いに持ちつ離れつの関係を維持するのに彼女の得た役割は以外にも大きい。

というのも、ママチャリ含めた7人を熱くさせたのも彼女がきっかけだし、駐在さんを熱くさせたのも彼女の存在があるからだ。

 

そして、駐在さんという権力的な立場にある男性と町一番の美人女性という組み合わせが、いかにも1970年代らしくて、どうも愛おしさを覚える。

現代は、公務員=高貴な存在という構図は薄くなってきているが、この当時といえばこの構図が如何にも正解とでも言えるパターンな訳だ。

本質が見えていない誇示消費のような結婚観や恋愛観が好きではないから。

でも、それが”当時らしさ”を演出するにも一役買っているし、物語を締めてくれる。

 

彼女が双方の軸になっていなかったらこそ、単なるコメディに収まっていたかもしれない。

コメディはもちろん、彼女に焦がれる少年たちの恋模様によって青春時代の淡い心理を顕在化させている。

そう思えば、意図的でもなく、普遍的な物語であるのも関わらず、文化的なものまで見えてきそうな気がしてならない

撮影地について

今作の撮影地といえば、僕には馴染みの深い、栃木県北部・東部である。

ピンポイントではないけれど、僕は正にこの近くで少年時代を過ごした。

出てくる学校も、実家から少し足を伸ばしたところである。

 

そして、今作の重要な場所として河原があり、ママチャリと駐在さんはここでラストを迎える。

実は、この地は僕が少年時代に遊んでいた川で、3回くらいはいったことがある。

そして、愛犬とこの川で泳いでいた。少年時代を語ると田舎者すぎて自分でも笑えてくる。

もちろん否定的な意味でもなくて、懐かしさに。

一人暮らしを始めてからは新宿にも住んでいたことがあるので、その差は雲泥である。

それが妙におかしいし、色々経験して変わったなあと思いに耽るも、よくよく考えればあまり変わっていなくて、それもまたおかしい。

というのも、1週間目には高校の友人と川で遊んできたから。落ちてた魚を焼いたりなどして遊んできた。

そう思えば、ママチャリ達とあまり変わらないのかも知れない。

地方で少年時代を過ごした人ならこの映画にそんな懐かしさを覚えたりもするかも知れない。

 

正直、ママチャリ達のイタズラは表層的にも思える。ここでカミングアウトするのは怖いので伏せておくけれど、僕たちの中学・高校時代はこんなものではない。

悪さ自慢をするヤンキーのようだけれど、もっと破茶滅茶な学生時代を過ごしていた。

それが最高に楽しかった。

そういう意味では、ママチャリ達の言動は妙に自分ごとにも感じたりもして、僕にとってリンクするところが多い映画なので、なんだか思い入れのある映画にもなった。

 

Bitly