映画「カサブランカ」監督・キャスト、あらすじ・感想 不朽の名作 ”君の瞳に乾杯”は、こうして

映画「カサブランカ」監督・キャスト、あらすじ・感想 不朽の名作 ”君の瞳に乾杯”は、こうして

国家の重圧によって、自由の利かない男女。

彼らの行く末は…。

現代に白黒映画を好んで見るかは殆どいないと思われますが、これを見れば白黒の良さを身を以て感じることができます。

作品情報

制作年 1942年

制作国 アメリカ

上映時間 103分

ジャンル ドラマ

監督

マイケル・カーティス

キャスト

ハンフリー・ボガート(リック)

イングリッド・バーグマン(イルザ)

ポール・ヘンリード(ビクター)

あらすじ

第二次世界大戦真っただ中の1941年。

フランス領土のモロッコのカサブランカには、ビザを持てない亡命者の溜まり場となっている酒場があった。

店を営むリックの元へ、昔の恋人イルザがやって来る。

しかし、彼女の隣には現在の夫で反ナチス活動家のラズロの姿が…。

感想・考察

今作の歴史的背景

映画界に多大な影響を与えた今作でありますが、歴史的背景を知っておかないと難解な作品でもあります。

もちろん事前知識なくても楽しめる作品ですが、事前に調べたので、シェアしておきます。

 

舞台はアフリカ大陸の北西部モロッコのカサブランカであります。

今作の公開当時の1942年モロッコはフランス領でありまして、植民地支配されていました。

また、1940年にフランス本土の方で政権を獲得した政権が親独派であったために、カサブランカにおいてはフランス軍とドイツ軍がおりました。

そしてフランスから各地に点在していたフランス人は母国への思いを馳せながら、地下活動をしていました。

これは権力からの弾圧を避けるために非合法組織として法律的責任の所在を不透明にするものであります。

それ故に、ドイツ軍に見つかると収容されてしまうので、危険と隣り合わせで活動していた訳です。

大枠ではこのような背景が今作の物語に起因しています。

 

そんなこともあって、プロパガンダ的であるのです。

このような背景を認知して今作を鑑賞するとキャストの思いや言葉がより重みを持って感じられるのではないかと思われます。

そして、そんな背景が如実に現れているのが、リックの経営するクラブへ集まる亡命者の姿でしょう。

個人的に高校生までの歴史の授業や過去の物事にはあまり関心がなかったのですが、映画を頻繁に見る様になって映画を楽しむ為にも歴史を学ぶ事の必要性を感じるようになりました。

映画を通して教育の大切さを感じるこの頃です。

映画史に残るあれこれ。

コアな映画ファンではなくとも「君の瞳に乾杯」

このセリフは聞いたことがあるのではないでしょうか。

正にこのセリフが生まれたのが今作。

ハンフリー・ボガート演じるリックの放ったこの言葉といえば、キザな言葉の代名詞でしょう。

しかし、彼が放つとシビれますね。

格好いい…。

 

歴史的背景も重要かもしれませんが、何より素晴らしいのがイングリッド・バーグマン演じるエルザの美貌です。

性別問わずこれには腑に落ちるのではないでしょうか。

作り物かのようにキリッと縁取られた端正なルックスは本当に魅了されます。

そんな端正な顔つきからのストレートな物言いもグラっときます。

 

もちろんセリフやキャストも端的に素晴らしいのですが、映画としても非常に高い評価を得たのが今作であります。

アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚本賞を受賞しています。

さらに、主演男優賞、助演男優賞、ドラマ音楽賞、撮影賞、編集賞にノミネートされています。

この受賞歴、ノミネート数からも世間から高い評価を得ていたことがわかります。

 

さらに、プロパガンダ的な映画でもあります。

この点は1つネガティブなイメージでもありますが、それだけ今作が人々の注目を集め、そしてインパクトのある作品に仕上がっている裏返しでもあるのでしょう。

映画による非日常の投影

現代であれば敢えて白黒映画を見るのは物好きしかいないかもしれません。

しかし、今作を見れば白黒も良いなあとなるのです。

発砲の銃声があっても銃痕や血糊が出ないのも良い意味で時代を感じます。

時代的な事なのか、煙草姿が多く見られます。そこから見られる哀愁や機微が妙に情緒深さを醸し出します。

 

白黒であるが故に非常に情緒を感じることができるように感じます。

また、それが故に演技に関しては少し過度な表現も感じます。

しかし、それが”演じる”の意味合いを強めている様に感じるので、”映画”というものをより肌で感じることができます。

つまり、これは非日常です。

 

それとは対照的に最近の邦画は特に、日常的なストーリーによって共感を仰ぎ、視聴者を囲う映画が多いように感じています。

最近だと「愛がなんだ」「南瓜とマヨネーズ」なんかが、その類だと思います。個人的にその類の映画は好きですが、それとは対照的な今作の様な一般民とはかけ離れているカリスマ性のある役者によって演じられている映画も素敵だなと思うのです。

 

結論としては日常的でも非日常的でもそれぞれの映画の良さがあると思うのです。

現代に生きる自分だからそういう視点になるだけで当時この映画を見ていた人なんかはまた他の感想を持つ事にも興味深いなと思ったりもします。

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