否定的な意見がたくさん。
でも今作は、これで良い。完璧な監督なんていなくて。
その満たない部分をどうにか補いたくて沢山の映画を撮っているのではないかなリュック・ベッソンは。
そんな飽くなき探究心が現れている彼の映画が好き。
だから、余計に「レオン」が一人歩きし過ぎている気がする。
もちろん、素晴らしい映画なんだけれども。
作品情報
制作年 2014年
制作国 フランス
上映時間 89分
ジャンル アクション、SF
監督
リュック・ベッソン
キャスト
スカーレット・ヨハンソン(ルーシー)
モーガン・フリーマン(ノーマン教授)
チェ・ヨンシク(マフィアのボス)
あらすじ
ルーシーは台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまう。
マフィアは人体にある物質を埋め込み、その人間を海外に送り出すことで物質の密輸を行おうとしていた。
しかし、ルーシーの体内へ入った物質が漏れ出すアクシデントが発生する。
その影響により、普通の人間なら全体の10%しか機能していないと言われる脳の機能が、徐々に覚醒していくルーシー。
脳の覚醒率が上がり超人的な力が解放されていくに連れ、マフィアの計画を阻止するために動き始める。
感想・考察
賛否両論。寧ろ否定形が多いけれど。
賛否両論で特に今作は否定的な意見が多いけれど個人的には好きな作品。
というもの、リュック・ベッソン作品では「レオン」だけが一人歩きし過ぎている気がするから。もちろん素晴らしい作品というのは実感しているけれど、少々過大評価にも。
リュック・ベッソンといえば「レオン」ですが、個人的には「ダニー・ザ・ドッグ」、「アンジェラ」、「コロンビアーナ」、「ニキータ」、そのリメイク「アサシン」、なんかも面白い。
これらに共通することと言えば未完成ということ。それは良い意味で。
レオンが完成に近い作品なら、今作を含め他の作品は未完。
だからリュック・ベッソン監督は映画という形で挑戦し、映画で表現するのでしょう。
だから、飽くなき探究心でいくつも映画を撮っているじゃないかな。
だから、僕も誰のレビューや評論が正しいとか間違っているとも思わないし、もっと映画から色々と感じ取りたいなと思って書いている。
人間は完璧じゃないと言われるけれど、監督だって完璧な人なんて居ない。
だから、「レオン」が一人歩きしている気がしてしまうのです。
でも、未完でもいいじゃないのかな。と感じる作品。
アクションというよりもはやドラマ
アクションはあまりみないけれど、ドラマ性の強いアクション映画という今作は見いれる。
アクション映画はその名の通り、アクションがメインの映画。
僕は戦うことよりも、なぜ戦うのか、ということが的確な映画が好き。
今作はアクションに位置づけられるのかもしれないけれど、心理描写が的確。
それは他の、リュク・ベッソン作品にも感じるところで、だから彼のアクションはアクションでも好きになれる。
哲学的なあれこれ
冒頭の動物とルーシーの対比が引き込まれた。
人間も猿だった時はこんなだったのかな。チーターに追われてビビって気が気じゃないくて。
そんな動物の心理とルーシーを重ねてルーシーの恐怖を顕在化しているのが、面白い演出。
脳の発展を写したシーンも印象的。
人間は10%しか脳を使っていない。しかしイルカは20%。
人間がいわゆる高貴な存在と語られることは多いけれど、人間よりも知能が高い動物としてイルカを対比させるのも斬新。
イルカの方が知的な動物であるけれど、実際繁栄したのは人間。それは道具を使うから。
サピエンス全史では、虚構が繁栄の理由。今作では道具が繁栄の理由。
そんな事も語られているから面白い。娯楽の垣根を通り越してもはや哲学的。
生きる意味は後世に伝えるため。
手段は繁殖か不死か。
でも、脳が100%覚醒すれば時間を超えて不死へ。
何を以って真実とするのか。それは時である。
数字はデータに過ぎなくて、物事を単純化する道具。
道具を使う事で発展してきた人間にとっては如何にも人間的思想。
映画は娯楽であるなら、面白いと思わせてくれる今作は素晴らしい映画。