映画「トップガン」監督・キャスト、あらすじ・感想 格好良いだけでは済まさない製作側の皮肉

映画「トップガン」監督・キャスト、あらすじ・感想 格好良いだけでは済まさない製作側の皮肉

34年の歳月を経て、2020年に公開が決まった名作「トップガン」の続編「トップガン2」ですが、ベースとなる今作は非常に衝撃的な作品でした。

アメリカ空軍の実機を使った撮影。

細部に到るまでこだわり抜かれたアメリカンカルチャーの投影。

そして、男性的な側面の強い空軍における、女性教官としてのチャーリーの存在。

格好良いだけでは、済ましてくれない皮肉を込めた作風が、20年を超えた今見ても色褪せません。

作品情報

制作年 1986年

制作国 アメリカ

上映時間 110分

ジャンル ドラマ

監督

トニー・スコット

キャスト

トム・クルーズ(マーベリック)

ケリー・マクギリス(チャーリー)

ヴァル・キルマー(アイスマン)

アンソニー・エドワーズ(グース)

トム・スケリット(バイパー)

あらすじ

「トップガン」とは、アメリカ海軍所属のエリート上位1%のパイロットを指す。

そんなトップガンに所属が決まり厳しい訓練を受けることになったマーベリックと相棒のグース。

そこでの美しい女性教官チャーリーとの恋愛模様、ライバルであるアイスマンとの衝突。

そして不慮の飛行事故に見舞われたグースの末路…。

様々な経験を超えて、とうとうマーベリックは敵の戦闘機との実戦に突入していく。

感想・考察

アメリカ空軍の実機によるリアリティの追求

まず、今作の特筆する点といえば、当時を思わせないほどの空中戦のリアリティです。

アメリカ空軍の実機を使って撮影したということもあり、当時のイメージを覆すほどの臨場感を味わうことができ、文字通りのめり混む勢いで見入ってしまいます。

今でこそ、アイマックスや4DXなどの映画体験は一種のアトラクション性を思わせる作りになっていますが、今作のグラッフィックや演出で、このリアリティはやはり製作側の強いこだわりを感じることができます。

感情移入作品は幾多も存在する訳ですが、感情移入ならぬ感覚移入とでも言いましょうか。

見るというより、体感という感覚が近いかもしれません。

体感してください。

細部に宿る、格好良さ

格好良さというのは非常に主観的な定義ですが、今作に登場する俳優陣を筆頭に、戦闘機はもちろん、バイク、MA-1やサングラスといったファッション、音楽、全てに格好良さを感じます。

当時の文化を知るにも・浸るにも、今作はおすすめです。

クールジャパンならぬ、クールアメリカンとでも言いましょうか。

日本人だからこそ、垣間見ることのできるアメリカンカルチャーの格好良さが、今作にはありました。

エリート軍の教官としての女性チャーリー

今でこそ、女性に対する価値観というのは当時に比べ多様に、言い換えれば緩和してきているのでしょう。

しかし、1986年当時、軍の上位1%というエリート中のエリートの教官として女性を当てることが、妙に皮肉的にも見えてくるのが今作のポイントです。

女性であるチャーリーが指導者という形で関係してくる訳ですが、もちろん女性的な側面が大いに描かれているので、ビジュアル的に楽しむのも大いに結構です。

自分もそうしました…。

男性女性問わず彼女のクールビューティーは圧巻です。

しかし、軍人の母数で見ても、男性的なイメージが強いことは明らかでしょう。

例え、軍に加われたとしても身体的に劣勢であるとされる女性は所謂、裏方です。

米軍においても地上戦には加わることができず、機甲や野戦砲兵として活躍の場には限りがありました。

すると、身体的にどうしても、男性に劣る女性のポテンシャルを生かすためにも指導者としての立ち位置は合致していますが、尚且つ、大衆的に男性的なイメージの強い指導者に女性を当てることで、その高貴な姿をシナジー的に表現しているのです。

そのシナジーは指導者としてはもちろん効果を発揮するわけですが、マーベリックスの恋愛対象としても異様に、シナジーするのです。

男性的な軍における指導者としての女性という希少性が、さらに高貴な女性を構築する要素となっているのです。

 

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